#サイキックハーツ
#PBW
「an electronic message sign」
TW4のマサムネがテレパスに目覚めてしまった時のことの小話。かなり昔に書いたもので、拙さしかない!とは思いつつ、当時の勢いで書いており今はもう書けない代物なのでここで供養します。
春。
眠りの浅い、深夜にマサムネは目を覚ました。過去の忌まわしい記憶の夢が蘇る。
携帯電話時計を確認すれば午前三時。クソッ、と呟いて携帯電話を枕元に戻し目を瞑るが、眠気など来ようはずもない。母国現地校時代の、あの、忌まわしい記憶は目を瞑っても視界から振り払えないでいる。
---
「マサムネ、あなたの音楽テスト結果です。弦楽器、A++。打楽器、A。……でも相変わらずコーラスはB、独唱はC-。あなたのご家庭の経済状況とご両親が許すのであれば教師を雇うなり、専門スクールに通うなり、ここ以外にもレッスンを検討なさいね」
「……わかりました、ミズ・オファレル。失礼します」
場所はロンドン現地校の音楽教室。未婚の中年女教師からテストの結果を受け取りに来たのは、マサムネが最後。用紙を丁寧に折り畳み、通学鞄に入れると『Have a nice Summer Vacation.』と女教師に告げ、後ろ手で防音扉を閉める。テスト用紙を受け取る際、脳裏に痺れを感じたのは学年度末の疲れだろうか。
気分を切り替えるために学校の自動販売機で、コーラ缶を買い一気飲みする。一瞬だけ、だが気分は晴れたものの、まだ脳裏の痺れとざわつきは止まない。音楽テストの歌唱力の結果が惨敗だった以外の理由の理由も思い当たらない。ながらも、「いつもの待ち合わせ場所」校舎中庭の樹の下で、クラスメイトで恋人のエルシーの到着を待つ。
「Hi!ごっめーん、マサムネー。ちょっとあたしセンセに赤点の結果で怒られちゃってさー。こればっかは仕方ないから、ごめんね?」と小走りにやってきたのは、茶色の髪を揺らし青い目を輝かせながら語る恋人エルシー。マサムネに右手で『ハイタッチ』を求める。
「いんや、気にするこったねーさ。オレも音楽のテストが惨敗だぜ?」そう言ってエルシーに『ハイタッチ』をしたその直後、ある【思念】がマサムネの脳裏を電光掲示板のように、高速によぎる。
『(…またセックスとか求められるのかな…しかも初めての時みたいに生で。マサムネは、男子は、………そういうことばっかり考えてるのかな…やだな)』
感の鋭くない愚鈍なマサムネにもこれはわかる。読み取れる。察することが出来る。明らかにこれは『彼女の裏の心』である、と。
なん、だ。これは。これはなんだ。テレパシーか何かか?オレは超能力者にでもなってしまったのか?恋人のエルシーがその後も語り続ける声も聞こえず、ただただ困惑狼狽しするしかない。
「…どうしたのマサムネ?あたしの話聞いてる?放課後シナモンロールが美味しいカフェに行こうよって話…聞いてた?」エルシーの顔は心の底から心配そうでも、マサムネの脳裏の電光掲示板は、彼女の不機嫌さを赤い文字で点滅アラートし続ける。
「い、いやなんでもねー!なんでもねーよ!オレ、ちーと腹具合がベーヤーだからデートとかまた今度。エルシー!んじゃまたー!」彼女のウェイト・ア・ミニットの声も聞かず、その場から全力で逃げ去るマサムネ。スクールバスの存在も忘れ、校内から全力疾走で駆け抜け逃げ出す。
校内を出ても街頭周囲は昼時故か人混みで多い。人混みを掻い潜る最中でも電光掲示板の如く、無差別に他人の思念が脳裏の電光掲示板に乱入してくる。
今日は何を食べよう、上司が鬱陶しい、ジャップの子供がぶつかってきた、昼休み明けだるい、エトセトラ、エトセトラ。
それらは浅い表層思考であっても『他人の心の声』。無差別に聞かされるのは苦痛でしかなかった。耐え切れず、すえた匂いの裏路地に篭もり、一瞬の安息を得るも、どういうタイミングで家路につけば、家についたとしても家族にどう相談していいのかわからない。もう、もういやだ。こんな声。何も聞こえない。聞きたくない。誰か。誰か。誰か。助けてくれ。
誰か。
この忌まわしい電光掲示板の赤文字から。畳む
#PBW
「an electronic message sign」
TW4のマサムネがテレパスに目覚めてしまった時のことの小話。かなり昔に書いたもので、拙さしかない!とは思いつつ、当時の勢いで書いており今はもう書けない代物なのでここで供養します。
春。
眠りの浅い、深夜にマサムネは目を覚ました。過去の忌まわしい記憶の夢が蘇る。
携帯電話時計を確認すれば午前三時。クソッ、と呟いて携帯電話を枕元に戻し目を瞑るが、眠気など来ようはずもない。母国現地校時代の、あの、忌まわしい記憶は目を瞑っても視界から振り払えないでいる。
---
「マサムネ、あなたの音楽テスト結果です。弦楽器、A++。打楽器、A。……でも相変わらずコーラスはB、独唱はC-。あなたのご家庭の経済状況とご両親が許すのであれば教師を雇うなり、専門スクールに通うなり、ここ以外にもレッスンを検討なさいね」
「……わかりました、ミズ・オファレル。失礼します」
場所はロンドン現地校の音楽教室。未婚の中年女教師からテストの結果を受け取りに来たのは、マサムネが最後。用紙を丁寧に折り畳み、通学鞄に入れると『Have a nice Summer Vacation.』と女教師に告げ、後ろ手で防音扉を閉める。テスト用紙を受け取る際、脳裏に痺れを感じたのは学年度末の疲れだろうか。
気分を切り替えるために学校の自動販売機で、コーラ缶を買い一気飲みする。一瞬だけ、だが気分は晴れたものの、まだ脳裏の痺れとざわつきは止まない。音楽テストの歌唱力の結果が惨敗だった以外の理由の理由も思い当たらない。ながらも、「いつもの待ち合わせ場所」校舎中庭の樹の下で、クラスメイトで恋人のエルシーの到着を待つ。
「Hi!ごっめーん、マサムネー。ちょっとあたしセンセに赤点の結果で怒られちゃってさー。こればっかは仕方ないから、ごめんね?」と小走りにやってきたのは、茶色の髪を揺らし青い目を輝かせながら語る恋人エルシー。マサムネに右手で『ハイタッチ』を求める。
「いんや、気にするこったねーさ。オレも音楽のテストが惨敗だぜ?」そう言ってエルシーに『ハイタッチ』をしたその直後、ある【思念】がマサムネの脳裏を電光掲示板のように、高速によぎる。
『(…またセックスとか求められるのかな…しかも初めての時みたいに生で。マサムネは、男子は、………そういうことばっかり考えてるのかな…やだな)』
感の鋭くない愚鈍なマサムネにもこれはわかる。読み取れる。察することが出来る。明らかにこれは『彼女の裏の心』である、と。
なん、だ。これは。これはなんだ。テレパシーか何かか?オレは超能力者にでもなってしまったのか?恋人のエルシーがその後も語り続ける声も聞こえず、ただただ困惑狼狽しするしかない。
「…どうしたのマサムネ?あたしの話聞いてる?放課後シナモンロールが美味しいカフェに行こうよって話…聞いてた?」エルシーの顔は心の底から心配そうでも、マサムネの脳裏の電光掲示板は、彼女の不機嫌さを赤い文字で点滅アラートし続ける。
「い、いやなんでもねー!なんでもねーよ!オレ、ちーと腹具合がベーヤーだからデートとかまた今度。エルシー!んじゃまたー!」彼女のウェイト・ア・ミニットの声も聞かず、その場から全力で逃げ去るマサムネ。スクールバスの存在も忘れ、校内から全力疾走で駆け抜け逃げ出す。
校内を出ても街頭周囲は昼時故か人混みで多い。人混みを掻い潜る最中でも電光掲示板の如く、無差別に他人の思念が脳裏の電光掲示板に乱入してくる。
今日は何を食べよう、上司が鬱陶しい、ジャップの子供がぶつかってきた、昼休み明けだるい、エトセトラ、エトセトラ。
それらは浅い表層思考であっても『他人の心の声』。無差別に聞かされるのは苦痛でしかなかった。耐え切れず、すえた匂いの裏路地に篭もり、一瞬の安息を得るも、どういうタイミングで家路につけば、家についたとしても家族にどう相談していいのかわからない。もう、もういやだ。こんな声。何も聞こえない。聞きたくない。誰か。誰か。誰か。助けてくれ。
誰か。
この忌まわしい電光掲示板の赤文字から。畳む
#PBW
「green tea time」
かなり昔に書いたTW4の兄妹とそのクラスメイトちゃんが登場するSS未満の小話。これも当時の勢いで書いており今はもう書けない代物なのでここで供養します。
「……というわけで、井の頭公園駅から徒歩15分が、わたくしの実家。母方のお祖父様お祖母様と……何かと不出来な兄と同居ですのよ。ご足労を掛けて申し訳無いですわ、ね」
ハチミツはそう言いながら溜息。両手前に行儀良く下げた地元和菓子屋の袋に彼女の服が触れるたび、しゃらしゃらとした音がする。
「いいんだよ、ハチミツさん。散歩は健康にいいし、駅から離れてきたから、道端に草花も見えるよ。たんぽぽも春になったら咲くね」
オリヴィエは美しい緑の目を細め、子供らしく無邪気に微笑む。
「あとね。フランスのお菓子も持ってきたんだよ。クイニーアマン。紅茶にも緑茶にも合うんじゃないかな」
「まぁ。オリヴィエはそんなお気遣いをなさらずとも。……ああ、もう見えてまいりました。ここですのよ。日本伝統の古民家、と言えば聞こえは宜しいのですが」
言ってハチミツが指を指したのは、悪い言い方をすれば『オンボロな日本家屋』。読み取れないほどに古び煤けた表札からは、辛うじて母方祖父母の姓が読み取れる。
ハチミツは、お花のキーホルダー付きの鍵で引き戸を開ける。「只今帰りました」がらがらと音を立てて、オリヴィエを玄関口まで招くと、暫くの沈黙。
の、後。背の高い青年がやってきた。廊下を横に滑ってスライディング参上でやってきた。
「は……ハッちゃんおかえり……? ッてその子誰? クラスメイトかナニーカ? ……まさか彼氏とかじゃねーよな! そういうの7歳にはまだ早いと思うなーオニイチャンは! あ、おチビ男子ちゃんへの紹介遅れちった。オレはハチミツの兄のマサムネな」
と、初対面でアホ丸出しな自己紹介をするハチミツの兄。
再び溜息をする妹のハチミツ。
「……勘違いをしないで下さる、お兄様? この方はオリヴィエと言いまして、クラスやクラブで仲良くして下さる『良い子のお手本』様なんですのよ。お兄様のお考えになっているような、邪な関係などでは御座いません」
後ろで『くすり』と笑う様なオリヴィエの声がしたが、これは純粋な兄妹喧嘩に笑ったのか。呆れたのか。後ろを向いているハチミツにはわからなかった。
「兎も角、お茶に致しましょう?わたくしは地元の和菓子屋さんでお団子と芋羊羹を、オリヴィエはクイニーアマンを持って来て下すったのよ」
とハチミツが言えばすかさず
「OK、ハッちゃん!今、じっちゃばっちゃ買い物出てッからオレが今急いでお茶淹れ…… ッつ~……」
マサムネは本人の言葉通り急いで茶の間に向かったが、勢いか、襖の天井との高低差かで頭を勢い良くぶつけた。
ハチミツ、本日三度目の溜息。
ちゃぶ台には保温ポットで淹れた湯呑みが二つ。来客用のソーサー付きティーカップが一つ。和菓子と洋菓子の皿が二つ。灼滅者達は春が近づく夕暮時の茶会を愉しむ。
せめてもの、束の間の平和を。畳む